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学会に参加する目的を考えておこう

「患者対応に悩んだとき」「制度の変化に戸惑いを感じたとき」あるいは「将来の薬剤師像を描きたいとき」——そんなときは学会という場で,ヒントをみつけることができるかもしれません。
何を知りたいのか,どんな話を聞いてみたいのか,事前にイメージしておくだけで,スムーズにまわることができます。

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参加前にやっておこう! 事前準備リスト

スケジュールを立てる

興味のあるテーマを軸に,1日3~4セッション+展示見学を目安に予定を立てると,満足感のある1日を過ごすことができます。余った時間は,ポスター発表や展示での情報収集などに使うとより有意義です。

これだけは忘れずに! 持ち物チェック

スマートフォン・タブレット

参加証の表示やセッション情報の確認,会場までの道順確認やスケジュールの把握などに欠かせません。スマホなどの充電が切れないように注意しましょう。

筆記用具・メモ帳

講演中の気づきやアイデアなどをメモしておくために用意しておきたいアイテムです。セッションによってはアンケート記入を求められることも。

A4サイズが入るバッグ

当日配布される資料やパンフレットを折らずに収納できる,A4サイズに対応したバッグがあると便利です。落ち着いた色味で肩掛けできるタイプ,開閉がスムーズなものがお勧めです。

服装の目安は?

清潔感のある服装が基本

男性は,襟付きのシャツにシンプルなスラックスなどをあわせた,清潔感のある装いがおすすめです。ネクタイの有無は自由ですが,場の雰囲気に応じて判断しましょう。気温が高い場合は,無理にジャケットを着用する必要はありません。
女性は,派手すぎないブラウスやジャケットなど,場にふさわしい落ち着いた印象の服装を心がけるとよいでしょう。髪型は、寝ぐせがなく、顔がきちんと見えるように整えておきましょう。前髪で目元が隠れていたり、乱れが目立ったりすると清潔感に欠けてみえることも。

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どう動く? 会場での立ち回り

受付は何分前に行けばいい?

最初のセッションやセミナーの1時間前には会場に到着しておくと安心です。受付場所や会場内の移動に戸惑うこともあるため,余裕をもった行動を心がけましょう。

シンポジウムと口頭発表の違いは?

シンポジウムは,1つのテーマについて複数の発表者が講演していくセッションです。薬剤師業務の課題や制度の動向,それに関連した研究や事例報告など,実務と学術の両面から掘り下げられることが多く,幅広い視点から話を聴けるのが特徴です。
一方,口頭発表は,現場での取り組み,調査研究,事例報告などを,発表者が順に紹介するセッションです。服薬指導や患者対応,業務改善など,現場の工夫や課題に関する実践的な内容が多く,日々の業務にすぐ役立つヒントが得られます。

ランチョンセミナーって何?

お弁当を食べながら講演を聴けるセッションです。参加費はかからないことが多く,お弁当も提供されるため,人気のある企画です。
ただし,整理券が必要な場合や事前申込が必要な場合もあるため,大会のWebサイトや学会アプリで受付方法や整理券の配布時間を事前に確認しましょう。

ポスター発表はどう見る?

ポスター発表は,薬局での取り組みや調査結果などをポスターにまとめて,会場内に掲示する発表スタイルです。掲示だけでなく,発表の時間では,発表者がポスターの前で説明や質問対応を行います。
一方的に聴講するシンポジウムなどと異なり,発表者と直接対話できるため,疑問をその場で尋ねたり,取り組みの背景まで深く知ることができるのが魅力です。また,閲覧するだけなら,複数の発表を自分のペースで見てまわることもできます。

展示ブースは見たほうがいい?

展示会場では,薬剤師業務に関連したさまざまな製品やツールが紹介されています。例えば,電子薬歴の新機能や服薬指導に役立つ資材,在宅対応の機器,OTC医薬品の新製品など,一度に体験できるのが特徴です。
実物を見たり,説明を聞いたりすることで,どのように使うのか具体的にイメージしやすくなります。最近では,AIを活用したシステムやアプリなどが開発されており,そういった最新機器に触れることができます。

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学会での交流術

名刺交換は交流のチャンス

展示ブースの企業担当者,ポスター発表やシンポジウムの発表者など,学会では名刺を交換する場面が多くあります。名刺を交換しておけば,あとで「この人に聞いてみたい」「また話してみたい」と思ったときにも連絡がとれます。氏名・所属・連絡先などを記載した自作の名刺でも構いません。

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学会にひとりで参加するときの歩き方

ひとりでも気後れしない

学会にひとりで参加するのは,少し不安かもしれません。でも,実際には,ひとりで参加している人も多いので心配無用です。大学の同級生や友人に偶然出会うことも。

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学会参加後の振り返りと活用法

気づきや学びを記録に残そう

学会で聞いた内容は,その場では印象に残っていても,数日後には忘れてしまうことも。あとから思い出せるように,「どの講演で」「誰が」「どんなことを話していたか」,一言でもメモしておくと,後日振り返るときにヒントになります。

職場や仲間と共有して学びを広げよう

学会で得た気づきや知識は,自分のなかにとどめず,職場で共有することで業務がもっと広がります。例えば,「この考え方,うちの業務にも応用できそう」「この製品が話題になってた」といったことが,仲間にとってもヒントになるかもしれません。

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学会参加のために知っておきたいQ&A

学会の会員でなくても参加できますか?


参加資格は,学会によって異なります。会員と非会員で参加費が異なることも。大会公式Webサイトなどで事前に確認しましょう。

事前に参加登録しないと参加できませんか?


多くの学会では,事前の参加登録が基本となっています。参加を決めたらまずは大会公式Webサイトを確認しましょう。ただし,当日受付で参加できる場合もあり,直前に参加を決めたとしても参加できることがほとんどです。
ただ,事前参加登録をしておくと,参加証や抄録集,ランチョンセミナーの整理券などを優先的に入手することができるため,学会への参加を決めたらまずは参加登録を行うのがよいでしょう。

シンポジウムなどの会場内で注意すべきマナーはありますか?


会場内での通話や大きな声での会話,居眠りなどは避けましょう。セッション中の出入りは,できるだけ発表の合間に行うのがマナーです。また,座席には時間に余裕をもって着席し,荷物は通路の妨げにならないように注意しましょう。

シンポジウムや口頭発表で質問しても大丈夫ですか?


シンポジウムや口頭発表では,質疑応答の時間が設けられていることが多く,発表者とのやりとりは,学びを深める貴重な機会になります。疑問に思ったことや,自施設との違いなど,気になった点があれば,ぜひ質問してみましょう。

ポスター発表ではどのように質問すればよいですか?


ポスター発表では,発表者がポスターの前で説明する時間帯があり,その時間内であれば自由に質問することができます。発表時間に質問できない場合は,後日,直接発表者の勤務先に電話やメールで問い合わせてみましょう。

発表内容の撮影や録音はしてもよいですか?


学会では一部を除いて,スライドやポスターの撮影,発表の録音などは,禁止されていることも。どうしても撮影や録音をしたい場合は,発表者や運営事務局に確認し,許可を得たうえで行うことをお勧めします。

ソーシャルメディアに投稿しても大丈夫ですか?


投稿すること自体は禁止されていませんが,投稿内容には注意が必要です。特にスライドや発表者の個人情報を無断で掲載することは,マナー違反や情報漏洩につながる恐れがあります。
また,発言の一部だけを切り取って投稿すると,発表者の意図が正しく伝わらず,誤解や炎上の原因になることもあります。