小児の冬支度:吸入薬の指導と誤飲防止
冬の喘息と吸入指導
12月に入り寒さが一段と厳しくなると,冷気や感染症をきっかけに喘息発作を起こす子どもが増えてきます。薬局で吸入薬を受け取る患児も多くなる季節です。吸入薬は効果を発揮するために,正しいデバイス操作とアドヒアランスの維持が不可欠であり,薬剤師による指導が重要となります。
小児ではデバイスの選択に年齢が大きく影響します。乳幼児はスペーサー付き吸入器が基本で,マスク型かマウスピース型かを年齢や発達に応じて使い分けます。学童期以降ではドライパウダー吸入薬も使用されますが,十分な吸入力があるかを確認する必要があります。
指導時のポイントとしては,
1.吸入のタイミングを毎日決まった時間に設定すること
2.吸入後は必ずうがいを行い,口腔内のカンジダ症や嗄声を予防すること
3.スペーサーは定期的に洗浄し,乾燥させて使用すること
といった具体的なアドバイスが挙げられます。また,うがいができない年齢では,吸入後に水を飲んで胃に流します。この一言を添えることで,保護者にとって実行しやすい工夫となります。
冬休みに増える誤飲・誤用防止
年末年始は自宅で過ごす時間が増え,家庭内での薬の誤飲・誤用事故が起こりやすい時期でもあります。特に解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬など,兄弟や大人の薬を誤って服用してしまうケースは珍しくありません。また,薬をおもちゃ代わりに扱ってしまう事故も報告されています。
薬局薬剤師ができるアドバイスとしては,
1.薬は小児が開けられない容器に入れる。また手の届かない場所に保管すること
2.兄弟姉妹の薬と混ざらないようにラベルや袋を分けておくこと
3.外出や帰省時には,必要最小限の薬だけを携帯し,残りは安全な場所に保管すること
などがあります。保護者には「薬の事故はほんの一瞬の油断で起こる」ことを強調し,日常生活に即した予防策を伝えると安心感につながります。
まとめ
12月は小児喘息の増悪や薬の誤飲事故が増える季節です。薬局薬剤師が「吸入薬の正しい使用」と「薬の安全管理」を意識して声かけをすることで,患児とその家族の生活をより安心・安全に支えることができます。季節に合わせた一言の工夫が,信頼関係を深める大切なきっかけとなります。