プレドニゾロン錠5mg処方の3つのパターン
処方箋から読み解くステロイドの使い分け
医師が思う経口ステロイドの使い分け
薬局で処方箋を受け取ったとき,「プレドニゾロン錠5mg 1回1錠 1日1回 朝食後」という処方をよく目にする。しかし,同じ「プレドニゾロン錠5mg」でも,処方の背景にある医師の意図はまったく異なる場合がある。副腎不全の補充療法なのか,膠原病の維持療法なのか,あるいは漸減途中なのか。処方箋の文面だけでは判別しにくいが,併用薬や処方変更の経緯,患者背景を読み解くことで処方意図を推測することにより,それに応じた服薬指導につなげることができる。本稿では,処方日数をあえて抜いてプレドニゾロン錠5mg処方に隠れた3つの処方意図を取り上げ,処方箋の読み解き方と服薬指導のポイントを解説する。
プレドニゾロン錠5mgの単剤処方で免疫抑制薬の併用がなく,長期にわたり同一用量が続いている場合は,副腎不全に対する生理的補充の可能性がある。処方元が内分泌内科であれば,その可能性はさらに高まる。
- 処方元や併用薬の有無から,補充目的か治療目的かを判別する意識をもつ。補充療法であれば,指導内容は治療目的とは大きく異なる
- 発熱・嘔吐などの体調不良時(シックデイ)にはステロイドを倍量服用すること,手術や抜歯前には必ず主治医に申告することを具体的に伝える
- 補充療法は原則として生涯継続であり,自己判断での中止・減量は副腎クリーゼを招く危険性があることを繰り返し説明する。ステロイドカードの携帯も確認する
メトトレキサートとフォリアミン®が併用されていれば,膠原病の寛解維持中と考えられる。この5mgは初期の中〜高用量から段階的に減量した結果の維持量であり,疾患コントロールと副作用リスクのバランスをとった処方である。
- メトトレキサートやフォリアミン®の併用,処方元(リウマチ科・膠原病内科など)から,膠原病の寛解維持中であると判断する。この5mgは「減らせるところまで減らした結果の維持量」であり,安易に「まだステロイド飲んでいるんですか?」と言わない
- 長期服用に伴う副作用管理が中心となる。骨粗鬆症予防薬(ビスホスホネート製剤,ビタミンD・カルシウム製剤)の併用を確認し,血糖値・血圧・眼科受診の状況を定期的にフォローする
- メトトレキサート併用下では感染症リスクがさらに高まる。発熱時の早期受診,生ワクチン接種不可の説明に加え,メトトレキサートのシックデイ対応(体調不良時は休薬)もあわせて確認する
前回の処方から用量が減っていれば漸減過程と推測できる。10mgから5mgへの減量は比較的大きなステップであり,視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)の回復が十分でない可能性がある。原疾患の再燃と離脱症状の両面に注意が必要な段階である。
- 前回処方との用量差から漸減中であると把握する。お薬手帳や薬歴で減量ペースを追い,通常より大きな減量幅の場合は入力ミスの可能性も念頭に置き,必要に応じて疑義照会を行う
- 漸減中はHPA系の回復が追いつかず,副腎不全徴候(倦怠感,関節痛,微熱,低血圧など)が出やすい時期である。「体調の変化はないですか?」と具体的な症状を挙げて確認する
- 「減った=良くなった」と患者が自己判断でさらに減量・中止するケースがある。処方どおりのペースを守ることの重要性を伝え,つらい症状があれば次回の受診を待たず主治医に連絡するよう指導する
引用文献
- 1)Hahner S, et al:High incidence of adrenal crisis in educated patients with chronic adrenal insufficiency:a prospective study.J Clin Endocrinol Metab,100:407-416,2015
- 2)Woodcock T, et al:Guidelines for the management of glucocorticoids during the peri-operative period for patients with adrenal insufficiency:Guidelines from the Association of Anaesthetists, the Royal College of Physicians and the Society for Endocrinology UK.Anaesthesia,75:654-663,2020
- 3)Bornstein SR, et al:Diagnosis and Treatment of Primary Adrenal Insufficiency:An Endocrine Society Clinical Practice Guideline.J Clin Endocrinol Metab,101:364-389,2016
- 4)Prete A, et al:Glucocorticoid induced adrenal insufficiency.BMJ,374:n1380,2021