第58回日本薬剤師会学術大会 分科会3
「脳卒中の患者支援に向けた地域でのネットワーク」
入院情報提供書を薬薬連携の接点に活用
2025年10月12〜13日,第58回日本薬剤師会学術大会が京都市の国立京都国際会館で開催された。1日目の分科会3「脳卒中の患者支援に向けた地域でのネットワーク」では,京都市の薬局から脳卒中患者の支援や薬薬連携の取り組みが紹介された。編集部がレポートする。
脳卒中の再発を防ぐ介入を
メディカプラン京都 すこやか薬局の大東真理子氏は,はじめに副作用疑いの症例を紹介。脳卒中を発症後,回復期リハビリテーション病棟を退院し訪問診療に移行した患者で,新たにロキソプロフェン頓服の処方が開始された。処方後から血圧が上昇傾向を示すようになったためバルサルタンが追加処方されたが,その後も降圧がみられず収縮期血圧が150mmHgを超えるようになった。腎機能は悪化していなかったものの,高血圧は脳卒中の再発リスク因子であることから,「ロキソプロフェンを1日3回服用する日もある」といった薬剤師が患者から収集した情報とあわせて医師に処方の再検討を提案。ロキソプロフェンがアセトアミノフェンに変更され,以降は血圧が安定した。
脳卒中では高血圧のほか高血糖や脂質異常も再発リスクになるため,「新たに降圧薬や糖尿病治療薬が処方された場合,他の処方薬が高血圧や糖尿病の原因になっていないか薬剤師は積極的に疑う必要がある」と大東氏は述べた。
入院情報提供書の作成事例の6割でリアクション
こうした介入を行うには薬局側も入院中の経過や薬剤情報を得る必要があるが,退院時サマリーを積極的に作成する医療機関ばかりではなく,病院の薬剤部に依頼しても「われわれの仕事ではない」「お薬手帳に書かれている」などと言われてしまうこともあるという。
そこで大東氏らは,まず自分たちから病院に情報提供することで病院側との接点を作ることを目指し,入院予定の患者の情報を「入院情報提供書」として病院に送る取り組みを始めた。これは服薬情報等提供料3を算定できるか否かにかかわらず行っており,①病院側が必要な情報として入院前の処方内容,アレルギー・副作用歴,服薬方法など,②退院に際しての薬局側の希望(退院時処方の情報提供の依頼,退院時薬の調剤方法の希望など),③特記事項として服薬指導時に注意していた点や患者の特徴─を1枚のシートにまとめている。
2022年4月から2025年8月までの約3年間で病院に送った入院情報提供書は89件。このうち,52件(58.4%)では退院時サマリーの提供や電話連絡など病院から何らかの反応があったことから,大東氏は薬局への情報提供を病院側に意識してもらうきっかけになっているのではないかと述べ,一定の手ごたえをにじませた。
大東氏は,脳卒中患者が回復期リハビリ病棟から訪問診療に移行する過程で薬局薬剤師がシームレスな支援を行うには,早い段階で入院中の患者情報を入手することが重要であり,なかでも「病院薬剤師との協力が不可欠だ」と指摘。薬局薬剤師には自ら情報を取りにいく姿勢が求められると強調した一方,服薬情報等提供料などの算定の点数・対象を拡充することも今後の課題ではないかと語った。