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第34回日本医療薬学会年会が11月2~4日,千葉県の幕張メッセとTKP東京ベイ幕張ホールで開催された。薬物療法をはじめ,教育,研究,医療DXなど幅広いテーマで61のシンポジウムが設けられたほか,ポスター発表は1,000題を超えるなど,さまざまな角度から白熱した議論が各会場で展開された。編集部がレポートする。

第34回日本医療薬学年会の会場となった幕張メッセ

電話フォローアップで疼痛緩和の成果

ポスター発表では,病院薬剤師による演題が多いなか,薬局での取り組みも散見された。日本調剤北里薬局は,電話によるフォローアップが患者の疼痛改善に寄与したとの成果を報告した。

同薬局では,2023年12月~2024年3月に新規に医療用麻薬が処方された患者12名に対し電話でフォローアップを実施。疼痛コントロールが不良だった6名のうち3名の早期受診を促し,疼痛改善につなげることができた。

40代女性の症例は,乳がんの骨転移による痛みに対しナルサス錠2mg/日とナルラピド錠1mg頓用が処方されたが,初回服用の10日後に電話で確認したところ,痛みはNRS9~10で薬効が不十分と考えられた。そこで,患者に早めの受診を勧めるとともに,処方医にトレーシングレポートで状況を報告。これにより患者は予定日よりも早く受診,ナルサス錠が6mg/日に増量されることとなり,その結果,NRS4と痛みの改善が得られた。

掲載号
調剤と情報2024年12月号
認知症パンデミック時代における 薬剤師の役割


企画:三輪 高市(鈴鹿医療科学大学 薬学部)


地域包括ケアシステムの構築のめどとなっている2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になるといわれています。2040年には認知症患者数は800万人に達し、その社会的コストは21兆円を上回ると推計されています。認知症治療において、早期発見と継続した薬学的管理が、患者予後の面にも社会的コストの面にも重要であることは明らかです。したがって薬剤師が職能を発揮し、活躍することが期待されています。
本特集では、「認知症パンデミック時代における薬剤師の役割」をさまざまな視点で検討します。