第34回日本医療薬学年会の会場となった幕張メッセ
評価ツールPILL-5の活用に期待
大坪博子氏(昭和大学大学院薬学研究科社会薬学分野)は,錠剤嚥下障害の評価ツールPILL-5日本語版(以下,PILL-5)を解説。同ツールの臨床での活用に期待を寄せた。
PILL-5は,米国で開発された患者自記式ツールを日本語訳したもので,嚥下困難者用食品の販売などを手掛けるニュートリーがライセンスを取得している。その内容は,錠剤・カプセル剤について,①喉につかえる,②胸のあたりにつかえる,③飲むことに怖さを感じる,④ 飲むのが難しく,必要な薬の全部を飲み切ることができない,⑤粉砕したり包んだりなど,何かしら調整をしないと飲むことができない ─という5項目の質問に各5段階(0点「なし」~4点「毎回あった」)で回答し,合計6点未満を正常と判定する。
大坪氏は,摂食嚥下障害が高齢者や男性に多いのに対し,錠剤嚥下障害は若年者や女性に多いと説明したうえで,薬局店頭などで錠剤嚥下障害の早期発見にPILL-5を使ってほしいと呼びかけた。一方で,PILL-5が合計6点未満であっても,2点以上の項目が1つでもあれば錠剤嚥下障害予備軍といえるとの認識を示し,薬剤師による「踏み込んだ服薬指導」の必要性を指摘。具体例として,服薬時にむせ込みのある患者であれば,水を何回かに分けて飲むように指導することや,服薬時の姿勢は顎を引いて飲むように伝えることなどを挙げ,適切な嚥下のサポートを求めた。