第34回日本医療薬学年会の会場となった幕張メッセ
錠剤嚥下障害めぐり薬剤師の奮起求める
初日午後のシンポジウム「『錠剤嚥下障害』に取り組もう! 立ち上がれ薬剤師!─服薬に関する問題点と改善策─ 」では,内服薬が飲み込みにくい患者が潜在する現状に目を向け,薬剤師が積極的に関わるべきとの主張が繰り広げられた。
オーガナイザーを務めた昭和大学薬学部の倉田なおみ氏によると,錠剤嚥下障害とは,錠剤やカプセル剤,細粒剤など内服薬全般をうまく服用できない状況のことで,摂食嚥下障害と判定されなくても錠剤嚥下障害がみられる場合はある。また,摂食嚥下障害が高齢者で問題となりやすいのに対し,錠剤嚥下障害は若年者でも珍しくないのが特徴だ。
倉田氏は,錠剤嚥下障害が引き起こす問題として,介護の現場で錠剤が不適切に粉砕されている現状を指摘した。203の介護老人保健施設の内服薬服用者約2,000名を対象とした調査結果を示しながら,錠剤を粉砕しないと飲めない人が20%に上ることや,服薬介助を要する場合は80%以上がゼリーや食事に混ぜて服薬しているとの実態を紹介。服薬介助者が粉砕している薬剤には徐放性製剤なども含まれることから,「薬剤師に相談することなく,飲めなければ錠剤をつぶすということが施設では当たり前」の状況に危惧を示し,その背景にある錠剤嚥下障害には,製剤学を学んできた職種である薬剤師が関わらなくてはいけないと訴えた。