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「RxInfo TV」第13回では,日本薬剤師会の公式キャラクター「ふぁるみん」を紹介します。
全国から寄せられた1,900件を超える応募作品のなかから選ばれた「ふぁるみん」は,カプセル型の愛らしいフォルムと,ベンゼン環を模した六角形のボタンが特徴です。薬剤師の仕事や役割を,子どもや一般の方にも親しみやすく伝える存在として,さまざまな場面で活用が進んでいます。
今回は,その誕生の背景や活用の広がり,今後の展望について,日本薬剤師会の堀越博一常務理事にうかがいました。

「ふぁるみん」ってどんなキャラクター?

堀越 博一 先生(日本薬剤師会常務理事)

—— 「ふぁるみん」は,どのようなキャラクターですか?

「ふぁるみん」は,日本薬剤師会の公式キャラクターとして,明るく親しみやすい印象を持つ存在として誕生しました。

カプセル型のフォルムや,ベンゼン環をモチーフにした六角形のボタンがデザインの特徴です。カラーは日薬のシンボルカラーでもある紺色を基調としており,性別は特定されていません。男の子にも女の子にも見える中性的なデザインで,世代を問わず親しまれやすいよう,線を太めに描いた柔らかなタッチで仕上げられています。

第一印象として「かわいらしさ」が全面にあり,今後は,一般向け資材や地域イベント,教育現場など,さまざまな場面での活用が期待されています。

名前に込められた想い

—— 「ふぁるみん」という名前の由来や,その名前に込められた想いについて教えてください。

「ふぁるみん」は,ラテン語の薬局「ファルマシア」に由来する語感をもつ「ふぁる」と,「みんなの」の意味とかわいい響きをもつ「みん」とを組み合わせたものです。これらの意味を掛け合わせ,「みんなの薬局」のような存在になればという願いが込められています。全国から寄せられた多数の応募のなかから複数の最終候補が選ばれ,最終的には「薬剤師の専門性を感じさせつつ,子どもや一般の方にも覚えやすく親しんでもらえる名前にしたい」という考えのもと,「ふぁるみん」に決定しました。

伝える相手は薬剤師だけではない

——「ふぁるみん」は,薬剤師以外の方たちにも,薬剤師の役割や活動を伝えるという使命を持ったキャラクターなのですね。

はい。薬剤師の取り組みをより多くの方に知ってもらうには,薬剤師だけでなく,一般の方や子どもたち,他職種の方などにも関心を持ってもらうことが大切です。そのため「ふぁるみん」は,薬剤師のあいだにとどまる存在ではなく,多くの方に向けて,薬剤師の役割や活動をわかりやすく伝えるキャラクターとして展開を進めています。

例えば,学校薬剤師が薬をテーマにした授業を行う際に「ふぁるみん」のイラストを配布資料に使うといった展開も想定しており,現在,イラストデータの整備を進めているところです。

なぜ新しいキャラクターが必要だったのか

—— 以前にも日薬の「かかりつけ薬剤師・薬局」特設サイトPRキャラクターが存在していましたが,あらためて新しいキャラクターを立ち上げる必要があったのはなぜでしょうか。

かつて「ファーミー」という「かかりつけ薬剤師・薬局」特設サイトPRキャラクターが存在していましたが,平成29年5月に日薬ホームページ内に開設された「かかりつけ薬剤師・薬局」特設Webサイトのキャラクターであったため,広報への活用にも課題がありました。一方で,薬剤師の役割をより広く社会に伝えていくには,親しまれやすく,印象に残る日本薬剤師会公式キャラクターが必要であるという認識のもと,現在の「ふぁるみん」プロジェクトが始動したかたちです。

地域色を取り入れた“ご当地ふぁるみん”

—— 「ふぁるみん」には,47都道府県ごとに異なる“ご当地バージョン”があると聞きました。それぞれの地域にちなんだデザインを展開した狙いについて教えてください。

「ご当地ふぁるみん」は,各都道府県の特色や名物,文化などをモチーフにしたデザインで展開しています。全国共通のキャラクターでありながら,地域に根ざした姿で登場することで,より多くの方に親しみを持ってもらえるのではないかと考えています。またデザインは,各地域の薬剤師会と相談しながら決めており,地域の特色が自然に伝わるよう工夫していることもポイントに挙げられます。

こうした親しみを通じて,薬剤師と地域住民との接点が広がればと考えています。


47都道府県のふぁるみん

学術大会でも「ご当地ふぁるみん」が登場予定

—— 10月の学術大会では,京都の「ご当地ふぁるみん」が活躍する予定はありますか?

「ふぁるみん」ブースの出展を予定しており,京都バージョンの「ご当地ふぁるみん」も活躍するのではないかと思います。また,ブースでのステッカー配布やフォトブースの設置などを検討しており,みなさんに楽しんでもらえるようにしたいと準備を進めています。

LINEスタンプや教材にも展開

—— 2025年4月にはLINEスタンプの配信も開始されましたが,今後の展開について,どのようなビジョンをお持ちですか?

現在は,日常会話で使いやすい24種類のスタンプを配信しており,幅広い方に親しみをもって使っていただけるよう工夫しています。今後は,日薬の公式キャラクターとして,薬剤師業務や服薬指導に関連したスタンプの展開も検討しています。

また,子ども向け資材への活用も進めており,小学生向けのリーフレットをはじめとする資材の整備を進行中です。今後は,中高生向けのリーフレットなど,さらに幅広い世代への展開も視野に入れています。

加えて,イベントへの参加や関連グッズの活用など,多様なかたちで「ふぁるみん」を通じた情報発信を広げていければと考えています。


ふぁるみん 頑張り屋さんの薬剤師 日常編

読者へのメッセージ

—— 最後に,読者へのメッセージをお願いします。

「ふぁるみん」がきっかけとなって,薬剤師の仕事に少しでも関心を持ってくださる方が増えたら嬉しく思います。今後も,さまざまな場面で「ふぁるみん」が登場する予定ですので,ぜひ温かく応援していただければ幸いです。

掲載号
調剤と情報2025年8月号

骨卒中のリスクに備える生活習慣病・慢性疾患と骨


企画:井上 大輔 先生(帝京大学ちば総合医療センター第三内科学講座)


骨粗鬆症は国民の10人に1人が罹患しているとされ,骨折や寝たきりへとつながるリスクがあるなど,健康寿命に大きく影響する疾患です。しかしながら,痛みなどの自覚症状はなく,骨折するまで本人に自覚がないことも少なくありません。また,生活習慣病や慢性疾患が骨代謝に影響を及ぼし,骨粗鬆症のリスクとなることが明らかとなっています。

本特集では,生活習慣病や慢性疾患が骨に与える影響について解説します。