薬局でのOTC販売は難しい……?
—— 薬局で OTC医薬品を販売していくにあたり,どのような取り組みをされているでしょうか?
普段の業務では,OTC医薬品を中心とした物販品の発注,陳列,販売,管理といった一連の業務などをしています。地域支援体制加算の要件を満たすために,ひとまずOTC医薬品48薬効群を配置したものの,これらの商品を「有効的に活用できるか」が課題となっている薬局もあるのではないかと思います。なかには「OTC医薬品は売れる見込みがない」「調剤薬局に置く意味があるのか」と思っているスタッフもいるでしょう。このマインドを変えるためには,まずは「OTC医薬品がある程度売れないと始まらない」と私は思っています。
—— 一般的に,来局者にとって調剤薬局は「処方箋の薬をもらうところ」という認識があると思います。処方箋をもたないお客さまが調剤薬局に来局し,OTC医薬品を買うケースは少ないのではないかと感じますが,OTC医薬品を販売するために,どのような工夫をされているのでしょうか?
はじめに,もともと1薬効群につき1品目であったラインナップを,相談が多いと想定される薬効群においては2~5品目程度まで種類を増やし,薬効群のみを意識するのではなく,頭から手足の先まで幅広い相談に対応できるよう,配置する商品を約150品目まで拡充しました。
また,「えびな応援価格」として,一部の商品は特価でお客さまに提供し,薬局としてセルフケアのサポートを大きくアピールしました(図1)。さらに,値札POPを統一し(図2),空箱を利用して売り場のボリュームを出したり,売り場が明るくなるような工夫をしたりしています。
(左上から値札,受診勧奨すべき症状一覧,管理帳簿などの保管ファイル)
—— 販売にあたり,品揃えや値段だけではなく,売り場作りにも注力されているのですね。実際にこれらの取り組みを開始されて,どのような変化がありましたか?
OTC医薬品の拡充を実施したメディカルモール内にあるガーデン薬局ViNA GARDENS店では,これらの取り組みを実施した初月で雑貨・食品などを除くOTC医薬品が120点ほど購入され,特に解熱鎮痛薬をメインに幅広いカテゴリーの商品が売れました。販売実績はOTC医薬品48薬効群に振り分けて分析し,今後薬学部との共同研究や学会発表をしていく予定です。
—— 48薬効群のなかでも,どのカテゴリーの OTC医薬品が購入されやすいのかという研究は大変興味深いですね。ただ,48薬効群もあると,適切な商品選びができるか自信をなくしてしまったり,不安感を抱いたりするスタッフもいらっしゃるのではないでしょうか?
患者さんの来局が少なくなった昼の時間に,ショートタイムでOTC医薬品販売に必要なルールの確認や,OTC医薬品の選び方などをスタッフにレクチャーしています。要指導医薬品や第1類医薬品,濫用等の恐れがある医薬品など,商品の違いや販売方法をスタッフ間で共有することで,自信をもってOTC医薬品を売ってほしいという思いで,何度もレクチャーを実施しています。
また,OTC医薬品の拡充を実施した際には,近隣医療機関の医師を訪問し,地域支援体制加算へOTC医薬品48薬効群の取り扱いが要件化されたことや,受診勧奨の取り組みなどを説明させていただき,連携を図るようにしています。