病院と薬局間の情報提供・共有はどうする?
澤田
退院後の再入院や急性増悪を予防し,患者の予後を安定させるには,地域・自宅に戻ってからも適切な心不全管理を継続することが重要です。そのため,病院薬剤師は薬局へ必要な情報を提供することが求められています(表1)。そこで,薬剤管理サマリーの活用をお勧めします。手引きには,病院と保険薬局で共有すべき情報を盛り込んだ「心不全薬剤管理サマリー
」のフォーマットを掲載しています。本フォーマットはあくまでも一例に過ぎませんので,すべて埋めることを目標とするのではなく,以下の3つの情報を意識して作成いただきたいと思います。
①薬剤情報
服薬支援や副作用モニタリングのポイントに加え,心不全治療のなかで重要な利尿薬や予後改善薬の情報を盛り込んでいます。
②心不全情報
患者の状態や再入院予防のポイントに関する情報です。薬局薬剤師が単独で情報収集することが難しい項目が多く,病院薬剤師が情報を整理して共有することで退院後のシームレスな支援につながることが期待されます。
③症状増悪時のサインと対応を説明するための共通言語
心不全の増悪による再入院を防ぐには,その兆候を早期に認識して受診行動につなげることが重要です。患者本人に留まらず,家族などの関係者に広く知識を共有して欲しい内容です。フォーマット内の「啓発事項」に記載されている内容は,常に共通言語として理解を深めてもらえるように意識すると良いでしょう。