第1回の出演者は『笑方箋』。九州の医大生で結成し,「笑顔こそ,最高の処方箋!」をキャッチフレーズに,心に寄り添うストレートな歌詞とメロディとともに,誰もが安心して健康にアプローチできるための架け橋となる新たな診療科『エンターテインメント科』を全国に拡げるために活動中です。
(左から)笑方箋:がじゅまる,サポートDJ:tsuitachi,笑方箋:もりしー
まずは笑方箋について教えてください。
笑方箋は『笑顔こそ,最高の処方箋!』を合言葉に,笑顔とその先の健康を届けるエンタメボーカルユニットで,2019年9月に九州の医大生で結成しました。現在,がじゅまるは愛知県の豊田市で総合診療医として,もりしーは同じく愛知県の大府市で小児科医として勤務しています。
音楽をはじめた背景やきっかけについて教えてください。
——音楽活動をはじめられたきっかけは何だったのでしょうか。
もりしー
医学生だった当時,将来医師になる立場として『薬』や『手術』だけでなく,音楽をはじめとしたエンターテインメント(以下,エンタメ)のチカラを通して苦しんでいる方々を笑顔にしたいと思ったのがきっかけです。
がじゅまる
エンタメのなかで,最も身近なものが音楽だったんだよね。
もりしー
そうそう。病棟実習のとき,長期にわたって病気に向き合っている患者さんが,エンタメに触れている時間は確かに笑顔になっていたんです。その時間が1秒でも長くなれば,健康でいられる時間が増えることにつながることに気がつきました。
がじゅまる
精神的にツラい思いをしている方や学校に思うように行けない方,つまり絶望の淵にいても心のなかで握りしめているものは音楽だったりエンタメだったりするんです。老若男女,どんな方々にも音楽は身近にある。僕たち医療従事者だからこそエンタメのチカラを最大化すれば,より多くの方々に対して笑顔を届けられるのではないかと思っています。
音楽活動に取り組むなかで感じたことや学んだことはありますか?
——実際に患者さんと向き合って感じた「エンタメのチカラ」が活動のきっかけだったんですね。これまで音楽活動に取り組まれるなかで感じたことや学んだことはありますか?
がじゅまる
僕たちはただの医学生のときに,音楽活動をスタートさせました。音楽に対して本気で向き合っている方々のチカラなしでは,この活動はまったく成り立たないです。月並みかもしれないけど,これまで関わってくださった方々の誰一人が欠けても,今の自分たち,は存在できていません。
笑方箋に限った話だけでなくて,きっと誰もが生きるということはこういうことなんだなと思います。作品を出す。ステージに立つ。笑方箋として活動すればするほど,こんなにもたくさんの方の支えのなかで「僕は生かされているんだ」という大切なことを日々実感させてくれます。
笑方箋:がじゅまる
もりしー
ライブ中に涙を流しているお客さんを見たとき,僕たちのライブに足を運んでくださるまでずっと我慢してきたんだな,と思ったことがありました。ライブという空間が,感情の開放の場所になっているんだと思っていて。
がじゅまる
カラオケで歌うこととはまったく違うんだよね。お客さんの感情の機微をステージで受け止めて,そのうえで歌っている。
もりしー
そんな場所を作らせていただけることに,言葉にならないほど感謝しています。
作詞や作曲をする際に意識していることはありますか?
—— 笑方箋の楽曲は,ストレートな歌詞とメロディが印象的ですが,作詞や作曲,また歌唱するときに意識していることは何ですか?
がじゅまる
作詞は背伸びせずに,今の気持ちをできるだけ形にすることを心がけています。できるだけ「平易な言葉』を使おう,とか。
もりしー
なんで平易な言葉なの?
がじゅまる
僕たちの音楽が届いてほしい方々を想像すると,どんな方も日常に触れている言葉が浮かびます。背伸びした歌詞を書くことはできるけど,普段使っているような言葉で紡ぐ詞のほうが多くの方に届けられるのかなって思っています。もりしーは,歌うときに心がけていることは?
もりしー
まずは,歌詞。僕たちの歌声が聴いている方々の耳に入って,音の情報が電気信号に変わる。そして,その信号を脳細胞がキャッチして視神経につながって……。さらに網膜に投影され,そのイメージが海馬に残るように,歌っている。
がじゅまる
……どゆこと? 投影? 網膜?
もりしー
だから……音声情報が視神経を通して網膜に浮かぶ像まで意識して歌っている。
がじゅまる
嘘つけぃ。
もりしー
歌が,あたかも目の前に投影されるように歌詞を意識して歌っています。さらに,海馬にも残ると。
─沈黙─
もりしー
がじゅまるは?
がじゅまる
歌い手として歌詞を意識するのはもちろんですが,いかに音楽に言葉を乗せるかが重要だと思います。さらに,聴いている人の耳から入り,電気信号に変わて,脳細胞を通して視神経につながり,さらに網膜に……
もりしー
それ聞いたことある。
─笑い─
がじゅまる
本当の話をすると,音楽の『うねり』に乗ってサーフィンしている感じ。すごいエネルギーで,一人ひとりのリスナーに届けに行くイメージです。
今後の目標や目指していることについて教えてください。
もりしー
目標が2つあります。一つは,2030年にディズニーランドのような病院『エンタメ×医療×居場所』を融合させた,エンタメがあふれているワクワクする病院を作ること,もう一つは,音楽業界と医療業界の架け橋になりたいということです。
笑方箋:もりしー
がじゅまる
マジで?(食い気味に)
もりしー
健康に対する関心が薄い方でもエンタメには触れていると思うんですね。そのエンタメのなかに僕らの音楽があれば,その人の健康リテラシーも向上するのではないかなと思います。
がじゅまる
医療は,目に見える病気に対するケアの側面が強いですよね。だけど,人には”目に見えない問題”も多く発生しています。そこにエンタメのチカラがあれば,医療では難しいケアもできると思っています。笑方箋の活動が『架け橋』になることで,医療の知識や健康への近道を日常に溶け込ませていきたいです。
もりしー
エンタメによって医療の敷居を下げたいんだよね。
がじゅまる
そう。知らないから怖かったり憶測が飛び交ってしまう。理想とする形は,気づいたら健康になっていて,気づいたら健康リテラシーが向上しているメソッド。いつの間にか病気について学べていたり,健康に近づけている。それぞれのタイミングで正しい情報を,それぞれのタイミングで,咀嚼してくれればいいと思います。好きな音楽を好きなときに聴くことと一緒ですよね。
最後に読者へメッセージをお願いします。
——今日は『笑方箋』について,またエンタメの力について教えてくださりありがとうございました。『エンタメ×医療×居場所』が融合した病院の完成を楽しみにしています。最後に読者へメッセージをお願いします。
もりしー
僕は薬剤師さんからの疑義照会の電話を受ける瞬間がすごく好きです。最後の砦になってくださって,いつも本当にありがとうございます。笑方箋の曲をたくさん聴いてください!
がじゅまる
最後までお読みくださり,ありがとうございました! 薬剤師さんには本当にいつもお世話になっています。薬剤師さんはお薬を通して患者さんの毎日の健康を見守り支えてくれている心強い味方です!ともに笑顔を処方する仲間として,これからも一緒に頑張っていきましょう! これからも笑方箋の応援よろしくお願いします!
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